廃止となる市民会館大ホール棟は早期に解体・撤去を

奥野 枚方市議会議員(2021年8月)

枚方市駅周辺再整備事業について、市は、2021年3月に「枚方市駅周辺再整備基本計画」を策定しています。2021年7月9日、枚方市議会は全員協議会を開催し、枚方市駅周辺再整備における取り組み状況について審議しました。

 

冒頭、市長から、枚方市駅周辺再整備事業は、本市の未来を担うまちづくりの最重要課題であり、財政状況を踏まえながら、国・府などと協力・連携して様々な取り組みを進めていきたいと挨拶がありました。そして、「③街区と周辺のまちづくり」や「④⑤街区の市有地の有効活用に向けた進め方」などの取り組みについて、現時点での進捗及び今後の予定について、市駅周辺等まち活性化部からの報告がありました。

 

私からは、枚方市駅周辺再整備事業のうち、特に、市民会館大ホール棟及び市民会館本館の廃止後の取り扱いについて、改めて市の考えを確認するとともに、「市民会館大ホールの解体・造成に係る事業手法」として、市は国補助金を獲得できるという観点から土地区画整理事業の優位を説明しているけれども、実現可能性や機会損失の観点から、いくつかの問題提起を行いました。

 

 

▲市民会館大ホール棟および市民会館本館の廃止後の取り扱いについて発言


今年5月、市は約2,000万円を投じて、外壁崩落等の危険が予測される市民会館大ホール棟の大きな外壁3面に「落下物防護ネット」を張り巡らすというリスク対応を行っていますが、これはあくまで緊急処置です。市民会館大ホール棟は今年9月末で、市民会館本館は来年3月末で廃止されることが決定されています。今年度の維持管理及び保全・改修経費は約 7,200万円を予算化しているけれども、次年度以降、予算も担当部署も現時点では未定で、今後、庁内で検討を行い、年内には確定していきたいとの答弁でした。

 

庁内検討する会議体も「不定」、建物を残す場合のランニングコストも「不明」という状況で、廃止施設を残すことを決めてよいのか、目の前にある市民会館大ホール棟、市民会館本館の廃止後の扱いが「おざなり」にされているのではないかと指摘しました。

 

▲市民会館大ホール

また、市が土地区画整理事業の対象としている④⑤街区は約9割が公有地であること、特に、④街区は、新たな道路の整備とあわせて良好な市街地形成を図ることが目的の面整備であるとの説明ですが、④街区で実現したいビジョンが全く明らかではなく、土地区画整理事業として行う道路整備と公園整備を、市民会館大ホールなどの既存施設の上に計画して移転補償の対象とし、国補助金をもらうという意図でしかないように思えるわけです。市が市の土地の中で区画を変える事業は、本来、国が補助すべき土地区画整理事業ではないと「ハシゴを外される」リスク、「捕らぬ狸の皮算用」になるのではないかと懸念されます。

 

さらに、あくまでも手段でしかない補助金の獲得を至上命題にし、まだまだ事業計画も事業概要も不透明な⑤街区における事業と一体で土地区画整理事業を進めようとすると、結局、ズルズルと長い時間がかかってしまい、その間、不必要な施設の維持管理コストを出し続けることになるばかりか、新たな活用可能性をつぶすという莫大な機会損失と逸失利益を発生させることになるのではないかと指摘しました。

 

現在、想定されている土地区画整理事業では、公共としての「枚方市」は、「枚方市」が中心の事業主体に対して、市民会館大ホールの移転補償費約 9億円と解体・造成の工事費約 1.6億円を合わせた約10.6億円を「補助金」として支払うけれども、1/2の約 5.3億円は「国補助金」として収入し、約 9億円は「移転補償費」として収入するので、公共としての「枚方市」は約 3.7億円の収入超過となり、土地区画整理事業ではなく市単独事業で大ホールの解体・造成工事を行って約 1.6億円を支出するよりも、約 5.3億円、お得である、という算段は、「捕らぬ狸の皮算用」と懸念もされますが、本当に公正といえるのかと意見もしました。

 

▲土地区画整理事業

市民会館大ホール棟や市民会館本館は残存することで多くのコストも発生するわけです。約 1.6億円で解体・撤去が実施できるのであれば、解体・撤去を先行するコスト・メリットは計り知れないですし、約 5,000㎡を超える大ホール跡地が更地になると、新しい景色が見え、新しいビジョンも生まれてくるのではないかと提案し、市民と考える姿勢をもって、市民の役に立つ市駅周辺再整備事業が④⑤街区で実現できるよう、検討いただくよう要望しました。