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第5回 交通政策研修会「線のない交通を描く」

活動報告

「線のない交通を描く」〜リ・デザインや共創が求められる、今、地域が公共交通をどう計画するか〜

2026年8月29日(土)、ラポールひらかた(枚方市)において、第5回交通政策研修会を開催しました。今回は北河内7市の行政関係者にも初めてご参加いただき、地域の公共交通を一緒に考える輪が大きく広がる研修会となりました。

講師は、NPO法人 持続可能なまちと交通をめざす再生塾でラーニングファシリテーターを務める中井 睦 氏(近畿運輸局)。運輸行政の現場に長く携わってこられた立場から、「公共交通とは何か」を根本から問い直すご講演をいただきました。

第5回交通政策研修会「線のない交通を描く」

2002年の乗合バスの規制緩和以降、黒字路線の収益で赤字路線を支える構図は制度上成り立たなくなり、公共交通は「事業者任せ」から「地域が自ら計画する」時代へと変わってきました。地域交通法の累次の改正を経て、いまや自治体が中心となって計画をつくることが求められています。北河内でも、枚方市・寝屋川市が地域公共交通計画を策定済みで、四條畷市・交野市でも手続きが進められています。

講演では、公共交通の特性として「在庫ができない」こと、そして運賃が上がると他の手段へ簡単に流れてしまう「逸走」の2点が示されました。朝夕のピークに合わせて車両と運転手を用意せざるを得ないこと、最も混雑する時間帯の利用者ほど割引運賃(定期券)であり、その負担を交通事業者が担っている現実など、利用者からは見えにくい構造が丁寧に解説されました。

また、マイカーへの過度な依存が、市街地の低密度な拡散 → 公共交通の利用者減 → サービス低下 → さらに利用者減という「負のスパイラル」を招くことも指摘されました。マイカーの費用は税金・保険・駐車場代など固定費として見えにくく、移動するその瞬間には忘れられているため「公共交通は高い」と感じられがちですが、総費用を利用回数で割れば決して高くはない、というお話は多くの参加者の気づきとなりました。

会場の様子

一方で、他分野と連携した先進事例も紹介されました。神戸市が市内の高校生の通学定期を教育の予算で全額補助している例、尼崎市の自動車教習所が送迎バスをやめて生徒に路線バスのフリーパスを支給し、教習所・バス会社・地域それぞれに利益が生まれた「四方よし」の例など、交通の担当部署だけで抱え込まない発想の大切さが語られました。

そして今回のテーマの核心が、「市町村の境界線は地図や行政にはあっても、暮らしや移動に線はない」という視点です。市境に住む人は隣の市にも当たり前に出かけており、生活圏は行政界で切れてはいません。だからこそ視野を広げ、生活圏を意識した広域の連携が欠かせない——この指摘は、7市が共に取り組む「北河内100万人みんなの交通プロジェクト」の考え方そのものでした。

質疑応答では、自動車産業との折り合いをどう考えるかという質問がありました。中井氏は「マイカーでなければ移動できない方の交通まで無理に転換する必要はなく、両立できる話です。公共交通も選べる環境にあるのに過度に偏っている方に、立ち止まって考えていただきたい」と応じ、そのために移動手段を賢く選べるよう促す「モビリティ・マネジメント」の重要性を述べられました。

最後に中井氏は、「事業者や行政の担当者は日々悩んでいます。単なる要望や要求ではなく、できることを持ち寄って一緒に考えていただきたい」と参加者に呼びかけ、講演を締めくくられました。

連合北河内は引き続き、行政・交通事業者・地域のみなさまとともに、北河内7市の公共交通の未来を考える取り組みを進めてまいります。

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